ワインコラム

ポルトガルの3大酒精強化ワイン

ポルトガルの酒精強化ワイン

リスボンの中心を貫くリベルダーデ大通りは、レスタウラドーレス広場から海の様に広かるテージョ川を背に緑濃い街路樹に彩られた緩やかな坂道を行く事1100m、マルケス・デ・ポンバル広場の銅像の下まで続きます。

1755年にポルトガルの首都リスボンに壊滅的な被害を与えたリスボン大震災からの復興に功績を遺した当時の宰相ポンバル、そのポンバルがワインの世界に残した物は世界最初の原産地呼称法でした。そして1756年に制定された世界最初の原産地呼称法で保護されたのは「ポートワイン」でした。

ポルトガルはスパークリングワイン、赤・白・ロゼワイン、そして酒精強化ワインと狭い国土に実に多彩なワインを産する国ですが、中でも酒精強化ワインは世界に並ぶものが無いほどの充実ぶりです。

ポルトガル3大酒精強化ワインと呼ばれるのは、北部ドウロ川流域、世界遺産の葡萄畑で生まれる「ポートワイン」、ポルトガル・リスボンから南西に約1000kmの大西洋上に浮かぶマデイラ島を産地とする「マデイラワイン」、そして首都リスボンを流れるテージョ川の対岸に広がるペニンシュラ・デ・セトゥーバルを産地とする「モスカテル・デ・セトゥーバル」を指します。これ以外にもアゾーレス島のピコワイン、リスボン近郊のカルカヴェドスも優れた酒精強化ワインの産地として知られます。

※酒精強化ワインとは
ワイン造りとは葡萄の持つ糖分を酵母菌が食べてアルコールと炭酸ガスに変える事を発酵と呼び、酒精強化ワインとはワインの醸造過程においてアルコール度数の強いブランデーを加える事で発酵を止めて、原料葡萄の持つ甘さを残したワインを造る製法です。
発酵を止めるタイミングによって甘さの調整を行う事が出来ます。発酵初期の段階でブランデーを添加して酵母菌の活動を止めれば、果汁の中に沢山の糖分を含んだ甘口のワインになり、かなり発酵が進んだ段階で添加すれば残糖が少なく甘さも控えめなワインが出来上がります。

ポートワイン

ポルトガル北部、スペインの国境からポルトガル本土を縦断して大西洋に注ぐドウロ川、スペイン国境から100kmポルトガルに入ったところまでの川沿いの畑で収穫された葡萄を使い、酒精強化を行って造られたワイン。濃密な味わいの原料ブドウの特徴から、濃くて甘い味わいを特徴とします。

規定上は赤・白・最近はロゼまでありますが、ポートワインは赤ワインが主体です。大樽で酸化を抑えて熟成させたルビーポートと、小樽で酸化熟成させたトウニーポートの2種が最もポピュラーです。とても良質の収穫年の葡萄を2年間の大樽熟成後ボトリングして瓶内で長期熟成させたヴィンテージ・ポートは、希少且つ最高のポートワインと評価されています。

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マデイラワイン

ポルトガルの首都リスボンから南西に1000km、大西洋上に浮かぶ南北22km、東西50kmのマデイラ島で造られる酒精強化ワイン。マデイラ島は標高1840mあり、畑の標高により、また島の南北により様々な味わいの葡萄が作られます。また海流の関係で年間平均気温も低いため、酸味に特徴を持ったワインが生まれます。

マデイラワインの持つ類稀なる酸味と酒精強化によって残された糖分とのバランスこそ、マデイラワインの醍醐味と言えましょう。ワインの色合いは褐色ですが、ベースは基本的に白ワインで長期の酸化熟成、温度の高い熟成庫での水分の蒸発によるワインの凝縮により、琥珀色に輝くワインに進化します。

ポートワインとは異なり、マデイラワインのヴィンテージと呼ばれるフラシュケイラは、20年以上の長期間の樽熟成により見事に熟成を果たしたワインに与えられる名称です。

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モスカテル・デ・セトゥーバル

リスボンの対岸、ペニンシュラ・デ・セトゥーバルのモスカテル種(マスカット・アレクサンドル種)で造られる酒精強化ワイン。

収穫されたモスカテル種を破砕し、果皮と共にブランデーを添加し18か月間漬け込んだ段階で果汁を絞り、樽に移して長期の熟成に移ります。マスカット葡萄の果皮の成分がワインの中に抽出されるため、マスカットフレーバーが力強く香る豊かな味わいが生みだされます。

濃密な甘さとマスカットフレーバーが香る味わいは、世界で最もリッチなワインと称されます。

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3大酒精強化ワイン 味わいの特徴

ポートワインは一部ドライタイプもありますが、甘口の赤ワインがメインです。元々、濃厚な赤ワインを造る産地であったドウロ地方の葡萄を使っているため、葡萄の甘さに加えてワインとしての密度の濃さからくる味わいの深さがポートワインの特徴となります。デザートや食後のワインとして楽しむタイプです。抜栓後はルビータイプで2週間、トウニータイプで2か月間は美味しく味わう事が出来ます。

マデイラワインは酒精強化ワインの中では最もフードマッチングに優れたワインと言えます。甘口から辛口まで幅広い味わいを持ったワインで、中国料理、和食まで実に広範囲なお料理とのベストマッチングを誇ります。また甘口タイプは食後のデザートワインとして大活躍してくれます。マデイラワインは抜栓しても半永久的に味わいが変化しないワインです。何年でも開けた時と同じ味わいを楽しむことが出来ます。

モスカテルは濃厚なマスカットの香味と甘さを特徴とし、世界で最もリッチなワインとして知られます。デザートとして楽しめるワインですが、その凝縮した果実味はワイン自体がデザートの役割を果たせます。抜栓後もマデイラワイン並みに味わいの変化が少ないワインです。