世界のワインのコラム

マルク・ソワイヤール ブルゴーニュの次世代を代表する造り手

マルク・ソワイヤール

ブルゴーニュの若手生産者の中でも注目を浴びるマルク・ソワイヤール。彼の経歴だけでも、これは只者ではないインパクトを発散しています。
マルクはボーヌの醸造学校で学び、アヴィニヨンで高等技術者資格を修得後、各地のワイナリーで研修を積み、2007年に栽培醸造学の学位を修得しました。そしてその年、ヴォーヌ・ロマネのドメーヌ ビゾでジャン-イヴ・ビゾとのワイン造りを開始し、6年間、ビゾ氏の片腕としてドメーヌの価値を高めてきました。この間、マルクは少しずつ彼自身のブドウ畑を購入し拡大していきました。

ドメーヌ ビゾのジャン・イヴ・ビゾと言えば「ヴォーヌ・ロマネの完全主義者!?」として知られ、独自の哲学と繊細なワイン造りで生み出されるワインは秀逸で、入手困難なワインとなっています。
ビゾ氏とマンツーマンで6年間、ビゾのワイン造りを支えた後、独立を目指していたマルクはブルゴーニュに自らブドウ畑を持つものの、ディジョン市が所有するドメーヌ ド・ラ・クラの責任者公募に応募。見事に醸造責任者の座を勝ち取り、そこからディジョン市の看板的なワイナリーを任されることになりました。

2016年にはニューヨークタイムズ紙で、ブルゴーニュの次世代を代表する造り手として注目の若手生産者と紹介され、彼の名前は一躍、世界のワイン愛好家の知るところになりました。フランス国内のワインバーでも彼のワインを扱うことがお店のステータスになっているとの情報もありました。

ドメーヌ ド・ラ・クラ

かつてコート・ドール以上の見事なワイン産地として評価を得ていたコトー・ド・ディジョン。ディジョン市の西に広がるブドウ畑はディジョン市の工業化と共に労働者達の日々の喉を潤すワインに変わっていきました。やがて忘れ去られたこの地のワイン造りを、ディジョン市が復活させようと、銘醸と謳われたドメーヌ ド・ラ・クラを購入しました。写真は、東向きの斜面の向こう側にディジョン市を臨む、ドメーヌ ド・ラ・クラ。
そして2014年、美食の街ディジョンに相応しいワイン造りを行う造り手を広く公募し数多くの応募者から選ばれたのがマルク・ソワイヤールだったということです。

マルク・ソワイヤールのワイン造り

マルク・ソワイヤールはドメーヌ ビゾで行ってきたこと、栽培・醸造に於いて出来る限り人的な介在を行わない事や醸造法も自然なスタイルを重要とするビゾで学んできた哲学を自らが主導するドメーヌ ド・ラ・クラで実践しています。同時に彼が自ら所有するブドウ畑1.18haからも見事なワインを生み出しており、「マルク・ソワイヤール」の名前でリリースしていますが、生産量が少ないためこちらも希少なワインとなっています。

ジャン・イヴと共に働き、ドメーヌ ビゾのワイン造りを支えてきたマルク・ソワイヤール。彼らに共通することは最高のブドウを栽培しそれをシンプルにワインにすることです。
具体的には畑での厳密な選果、収穫されたブドウは完璧な状態でセラーに運ばれて全房で赤ワインは発酵を開始、白ワインは搾汁を行うこと、マロラクティック発酵終了までSO2の添加を行わず、自生酵母による発酵、自然なマロラクティック発酵を行います。

ブルゴーニュワインの本質を感じられるワイン

マルク・ソワイヤールのワインに格付けされたワインはありませんが、本物のブルゴーニュワインの味わいを今に伝えるワインとして敬意をもって語られるワインです。
ブルゴーニュの有名な村名ワイン、プルミエ・クリュやグラン・クリュは数多くあります。その中にあって、格付けにかかわらず常に良きワイン造りを目指し努力を続ける造り手がいることを覚えておいてください。

※ブルゴーニュワインの格付けについては、コラム「フランスの銘醸地 ブルゴーニュ」をご覧ください。

美しく凝縮感ある果実の風味に、爽やかな酸味、柔らかなタンニン、渋みなどが調和し、何重も重ねられたレイヤーのように実感と共に様々な味わいを楽しめるマルク・ソワイヤールのワイン。人気のあまり手に入りにくいワインとなっていますが、ブルゴーニュワインの本質を感じられる味わいをお楽しみください。

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