世界のワインのコラム

ヌーヴォー解禁日・ポントヴィーニョショップでの初試飲販売会を終えて

11月の第3木曜日にあたる11月18日はボジョレ・ヌーヴォーの解禁日です。ポントヴィーニョのショップでは今年6月10日のオープン以来、初めてのイベントとなるヌーヴォー試飲販売会を開催しました。

ヌーヴォーとはフランス語で「新酒」を意味しており、よく知られているボジョレ・ヌーヴォーは、フランス・ブルゴーニュ地方のボジョレ地区で、その年収穫された葡萄で造った新酒のことです。ヌーヴォー解禁日に合わせたポントヴィーニョの試飲販売会では、ボジョレ・ヌーヴォーだけでなく山梨県やニュージーランドなど各国の新酒、ショップおすすめワインやマデイラワインもご紹介させていただきました。


〔画像〕店頭の試飲販売会の様子

試飲会の一番人気は、山梨の新酒であるシャトー酒折ワイナリーの「甲州にごり」と「デラウェアにごり」でした。発酵したてのワインを濾過せず、そのまま瓶詰めした濁りワインです。優しい甘さで果実のみずみずしさもあり、アルコール分も控えめなことから、普段あまりワインを召し上がらないという方にも「美味しくて飲みやすい!」と好評でした。

ワインがお好きという方には、特に解禁したばかりのボジョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォーとミュスカデ・ヌーヴォーが人気でした。

ボジョレ・ヌーヴォーはマセラシオン・カルボニックという製法を用いることから、通常の赤ワインに比べて、より葡萄のみずみずしさが感じられ、フレッシュで軽やかな味わいに仕上がります。赤ワインに合わせるお料理を考える場合、ステーキやロースト、煮込みなど、改まったお肉料理を思い浮かべがちですが、これなら普段のお料理にも合わせていただきやすいと思います。ボジョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォーは、ボジョレ・ヌーヴォーよりも限定された地域で生産された、こだわりの新酒です。さらに生産者のドメーヌ ジュベールは無農薬・有機栽培を実践しており、畑の環境や葡萄の持つ味わいを引き出すワイン造りに傾倒しています。

同日に解禁されたミュスカデ・ヌーヴォーも、フランス・ロワール地方の新酒です。フレッシュで瑞々しく、ずっと嗅いでいたいと思わせる華やかな香りがあります。生産者のドメーヌ ランドロンは長らく有機栽培を行っていますが、今春の霜害で大きな被害を被ったために生産量が激減し、近隣の志を同じくする生産者達の葡萄を合わせて今年のヌーヴォーが完成したそうです。今年も変わらず新酒を味わうことが出来るのは、生産者の努力と熱意あってこそ、と改めて実感しました。一部に有機栽培の認定を受けていない葡萄も含まれているため、例年のように有機栽培ワインの認定は受けていないとのことですが、認定の有無は全く気にならない澄んだ味わいです。今年の新酒の中で、スタッフ個人の一番のお気に入りです。


〔画像〕左から「ドメーヌ ジュベール / ボジョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォー 2021」、「ドメーヌ ランドロン / ミュスカデ・ヌーヴォー グラン・ド・レザン 2021」、「ヴィノヴァリー / ガメイ・ヌーヴォー ル・ガメイ・ドゥ・ヴィノヴァリー 2021」。三種とも今年収穫した葡萄で造られた新酒。

その他、ニュージーランドの新酒「ブラッシュ ソーヴィニョン」も、爽やかな味わいと華やかな香りでお客様に人気でした。日が暮れてからの屋外照明では、ロゼワインのきれいな色合いをご覧いただけなかったのが少し残念です。

ショップでの初イベントということで、トライ&エラーの連続でスタッフ一同手探りでの開催となりましたが、当日は不便な立地にも関わらず、多くの方がお越しくださいました。緊急事態宣言下では、感染状況を鑑みてお客様にテイスティングしたいただくことが難しかったのですが、たくさんのお客様から直接ワインの感想を伺える貴重な機会となりました。普段はあまりワインを飲まないと仰るお客様も、ヌーヴォーや生産者についてご説明していくうちに、色々な質問をいただき、ワインに興味をもっていただけたのではないかと慌ただしくも嬉しく感じた解禁日でした。


〔画像〕試飲ワイン15種