ポルトガルのワインのコラム

DUCK MANワイン ~ジョアン・パト~

世界のワイン愛好家達を驚かせ続けるワイン界のイノベーター ルイス・パトは、二人の娘の父でもあります。

長女フィリッパは独立して、フィリッパ・パトブランドでワインを生み出し、先日ポルトガルのワイン誌「レヴィスタ・ド・ヴィニョス」誌が選ぶ年間最優秀生産者に選定され、今やポルトガルを代表する新世代の造り手です。

次女のマリア・ジョアン・パトは、父ルイスと共にルイス・パトのワイナリーを運営しています。「ジョアン・パト」は、マリア・ジョアンのアイディアから生まれた、ルイス・パトの新たなブランドです。

ちなみに、「PATO」はポルトガル語で「鴨」の意味、「鳩」ではありません。

〔画像〕当主ルイス・パト

「ジョアン・パト」のコンセプトは、ルイス・パトの父でマリア・ジョアンの祖父 ジョアン・パトが、ダックマンに身を変えてこの世に現れワイン造りを行うという、メルヘンで少しホラーも感じられる内容です。ダックマンは色々なシーンで現れますが、今回リリースされたワインにもダックマンが描かれています。

不可思議なコンセプト&ラベルイメージですが、ワインレジェンド ルイス・パトが新たなコンセプトで造り上げたのは、驚きの絶えないワイン達。

新たに入荷したのは、2014年収穫のブドウで造った長期熟成版ペットナット、瓶内2次発酵で織引き(デゴルジュマン)無しの濁りスパークリングワイン、そしてバガ種で造った赤ワインの3種です。どれも個性的ですが、ルイス・パトの手腕の程が窺われます。

〔画像〕娘のマリア・ジョアン・パト

ダック ペットナットは、バイラーダの地元品種マリア・ゴメス種100%で造られています。収穫されたマリア・ゴメス種を破砕し、数週間果皮から抽出を行いながら発酵途中でボトリング、瓶内で発酵を継続させて造られます。果皮からの成分抽出と長期の熟成により、ワインの色合いはオレンジ色です。6年にわたる長期の瓶内熟成により、マリア・ゴメス種のフルーティーなアロマはドライフルーツ、ナッツ、ブリュレやトーストのような、香ばしく複雑な香りになります。複雑な味わいに口内は満たされますが、意外な程のドライなフィニッシュで爽やかな後味、いくらでも飲みたくなる味わいです。海鮮料理や和食、中華など、幅広いメニューと合わせることができ、個性的ではありますが包容力を持ったワインです。

ちなみに、ペットナットとは「ぺティヤン・ナチュレル(Petillant Naturel)」の略で、メトード リュラル(田舎方式)で造られた発泡性ワインを指します。瓶内二次発酵で造られるシャンパーニュ製法とは異なり、一次発酵中のブドウ果汁を瓶詰めし、瓶内で発酵を継続させます。一般的には澱引きせず、酵母は澱となって瓶内に留まるため、濁ったワインに仕上がります。補糖も行わないため、最もナチュラルなスパークリングワインと言われます。

〔画像〕ジョアン・パト ダック ペットナット(オレンジワイン)

こちら、スパークリングワインもマリア・ゴメス種100%で造られています。ワインをボトルに移す際、2次発酵用の糖分と酵母を加えますが、出荷時に織引きを行わないので、清酒の濁り酒以上に濁った状態です。マリア・ゴメス種の持つアロマティックな味わいが生き生きとし、澱からのたっぷりした旨味も感じられます。鴨(PATO)のシルエットを切り取ったラベルが印象的です。

〔画像〕ジョアン・パト スパークリングワイン(濁りスパークリングワイン)

バガ ダックは、新たなタイプのバガ種のワインに仕上がっています。もともとタンニンが強くガサツな味わいと言われたバガ種から、世界のプレステージワインに勝るとも劣らないワインを造り出したルイス・パトが、更に進化した流麗な味わいの赤ワインを生み出しました。スルスルと飲め、じんわり効いてくるタイプで、上質なネビオーロやバルベーラを思わせます。押しつけがましくなく、酸がしっかりとあり、僅かに甘みも感じることが出来る、実に秀逸なワイン。甘辛系の和食からローストビーフまで、どんなメニューとも楽しめそうです。

ジョアン・パトの新ワイン3種は、それぞれ個性にあふれたワイン達ですが、ナチュラルな味わい、滑らかで身体に染み込むようなスタイルが共通しています。シーンを選ばず楽しむことが出来る、現代的なワインです。

〔画像〕ジョアン・パト バガ ダック(赤ワイン)



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