生産者・ワイナリー紹介

ドメーヌ アンリ・ノーダン-フェラン

Domaine Henri Naudin-Ferrand

メーカーサイト: https://naudin-ferrand.fr/



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クレール・ノーダン

クレール・ノーダンが1500年代から続くドメーヌを引き継いだのは1994年だった。クレールの父母のアンリとリリアンヌには3人の娘がいたが当時ドメーヌを女性が引き継ぐことは稀で、アンリもドメーヌの存続を危ぶんでいた1991年、農業工学を学んだ3女のクレールがドメーヌに参画した。それから30数年、ドメーヌは女性の手で運営されて日々新たな挑戦を繰り返して現在に至っている。ドメーヌを引き継いだばかりの頃、クレールは数年間にわたり醸造上の技術を追求した後に、ある結論に達した。それは偉大なワインとは造り手の一年365日にわたる絶え間ない努力の結実に他ならないということだった。
持続可能なブドウ栽培と一貫したワイン造りを断固として実行する彼女は、標準化を拒否し、人的介入を最小限に抑えた持続可能なブドウ栽培への職人的なアプローチを行っている。 伝統的なブルゴーニュワイン、イメージだけのワインだけでなく、彼女には二酸化炭素排出量を考慮した未来のワインをもその視野に入っている。 女性ワイン生産者であり、情熱的な母親であるクレールは、素晴らしいワインを味わうという最大の喜びのために自分の伝統を産み出し、そして継承したいと考えている。

ブドウ畑で

ドメーヌの畑は全体で約21ha。その80%はオート・コート等の地域アペラシオンで村名はアロース・コルトン、プルミエ・クリュはニュイ・サン・ジョルジュとラドワ、グラン・クリュはエシェゾーを所有する。ドメーヌの歴史はやはりオート・コートの歴史でもあり1961年にオート・コートのアペラシオンが制定されて以降にドメーヌは大きく発展した。
ブドウの平均樹齢は35年 黒ブドウが65%、白ブドウは35%の栽培比率。黒ブドウはピノ・ノワール95%、ガメイ5% 白ブドウはアリゴテ60%、シャルドネ34%、ピノ・ブラン6%の品種構成。
栽培では除草剤を廃止し、BIOの認定を受けていないものの、栽培はビオロジックと同様の方向性で実施。ビオロジックでも認定されている硫酸銅の使用は畑に銅の蓄積を招くため、硫酸銅の代替として海藻やハーブティーを実験しながら使用を推進している。
ドメーヌのワインは畑によって2つのレンジに分かれている。一つはこれまでのドメーヌの長い歴史の中で育まれた伝統的なスタイルを好む顧客向けの「ドメーヌ アンリ・ノーダン-フェラン」、いわゆるクラシック・レンジ。もう一つはクレール・ノーダンの新たな感性をワインに表現したナチュラルな味わいの「クレール・ノーダン」でナチュール・レンジと称される。この2つのレンジはベースになるブドウ畑によって分けられている。クレールの目指す自然なブドウ栽培が効果を発揮した畑から順次、アンリ・ノーダン-フェランのレンジからクレール・ノーダンのレンジに移行されている。現在、ドメーヌ全体ではクラシック・レンジは7.1ha(34%)、ナチュール・レンジは13.7ha(66%)で、ナチュール・レンジは既に全体の半数を超え、ナチュール・レンジへの移行は進んでいる。

クレールのワイン造り

このドメーヌのワイン、クラシック・レンジとナチュール・レンジは簡単に見分けられる。クラシック・レンジには表ラベルにドメーヌ アンリ・ノーダン-フェランとアペラシオン、ヴィンテージ等の表記があり、ナチュール・レンジの表ラベルにはワイン名、ヴィンテージ、クレール・ノーダンの署名とワイン名にまつわるイラストが描かれる。(イラストの無いワインもある)アペラシオン等、法的に必要なものはバックラベルに記載されている。
両レンジの相違は畑だけではなく、赤ワインに関してはアンリ・ノーダン-フェランは完全に除梗しての醸造、クレール・ノーダンのレンジは全房による発酵を行う点が最も顕著である。このあたりはクレールの夫であるドメーヌ ビゾの当主ジャン・イヴ・ビゾ氏が行う全房発酵のスタイルに近いものがみられる。
ワイン造りにおいてクレールの改革は、全てのポンプを廃したことに始まる。種子の破砕が無くなりクリーンな果汁を得ることが出来た。亜硫酸(SO2)使用の極小化。マロラクティック発酵終了時まで一切の亜硫酸を添加しないキュヴェも多く存在する。ドメーヌでは自生酵母で発酵を行い亜硫酸添加によって、酵母の働きを弱めたくないためだ。赤ワインの清澄は行わない。濾過は珪藻土による軽い濾過、そして濾過を行わない場合もある。ボトリング時にワイン内にCO2は多い目に残しワインを酸化から守り、熟成を良好なものに導く。最良質の天然コルクを使用。
ナチュラルなワイン造り、とは言っても全て自然任せにしては良質なワインは出来ない。ワインメーカーは常にワインの状況を注視し、必要な場合はその進むべき方向を修正してやらなければならない。手をかけ過ぎるのは禁物だが、放置することでは良き結果は生まれない。彼女の造る、オルキス(オート・コート・ド・ボーヌ ルージュ)はマロラクティック発酵の終了後に僅かな量のSO2を添加する。マロラクティック発酵の後、減酸されたワインには野生酵母や野生乳酸菌がワインの味わいを劣化させてしまう。それまで保ち続けてきた美しいワインの味わいがまるで煮豆の様に変質してしまう。僅かなSO2の添加によってワインは見事にテロワールを表現した美しい存在として飲む者を魅了する。それがクレールのワイン造りだ。