世界のワインのコラム

ZOOMセミナー レポート: ワインで旅する山梨県/シャトー酒折ワイナリー

ワインで旅する山梨県/シャトー酒折ワイナリー

ポントヴィーニョでは、ワインと生産地や生産者をご紹介するZOOMセミナーを実施しております。
2022年5月14日は「ワインで旅する山梨県/シャトー酒折ワイナリー」と題し、甲府市にあるシャトー酒折の醸造責任者の井島さん(写真右)、広報の木戸さん(下写真右)と一緒にお届けしました。

前日の雨で畑からの中継を心配しておりましたが、当日はすっきりと晴れて、畑からの景色やマスカットベリーAの房を見せていただくことができました。
井島さんはシャトー酒折ワイナリーの立ち上げからワイン造りに携わり、グループ会社である木下インターナショナルの海外メーカーとの繋がりにより、海外のワイン産地で体験した製造技術を取り入れてワイン造りを行っています。

今回はこのセミナーで印象に残った「日本ワイン」について、またご紹介したワインと合わせるお料理についてご報告いたします。(セミナー(約1時間)は下記より視聴することができます。)

セミナー動画はこちらー>

シャトー酒折ワイナリーについて

シャトー酒折ワイナリーは、1991年木下インターナショナルのグループワイナリーとして、酒折の地に設立されました。

その特徴は下記に挙げられているように、地元の栽培のプロフェッショナルの方々と協力して、日々楽しめるリーズナブルなワイン造りを行っているということです。

◆「毎日の食卓で楽しめる、リーズナブルで美味しいワイン」をモットーに、日本を代表する醸造用品種甲州、マスカットベリーAを中心に日々楽しめるコストパフォーマンスの高いワインを生産しています!

◆「良いワインは良いブドウから」という方針の下、地元栽培家との共生、そして経験豊かな栽培家(池川さん率いるi-vines)との強い協力関係により、高品質の良いブドウを使って質の良いワインを造り出しています。

シャトー酒折ワイナリー:https://www.sakaoriwine.com/

日本ワインってどんなワイン?

日本で販売されているワインは、海外のブドウを原料として海外で製造された「輸入ワイン」と、日本国内で製造された「国産ワイン」に分けられます。
日本で製造して瓶詰めしたワインであれば「国産ワイン」となりますが、原料として海外から輸入したブドウや濃縮果汁を使っているものや、輸入したワインをブレンドして製造することもあります。

2000年以降、日本でも自らブドウ栽培とワイン醸造を手掛ける小規模生産者が増え、また海外でワイン造りを学んだ醸造家が「日本のブドウで日本らしいワイン」を造り出すようになり、新しいワイン造りの動きが日本ワイン全体のレベルを底上げしていきました。
このようなワインを輸入された原料から造られる「国産ワイン」と区別するために、純粋に日本のブドウを使って、製造、瓶詰されたワインを「日本ワイン」と呼び、ラベルへの記載が義務付けられました。

さらに「産地」についても、酒類の地理的表示制度「GI(Geographical Indication)」により山梨県のブドウを100%使用し、一定の基準(ブドウ品種、醸造に関する規定、分析値並びに官能審査など)の審査を通過したワインは、純粋な山梨県産のワインを示す「GI Yamanashi」とラベルに表示できるようになりました。
今では下記の産地がGIに指定されています。
(2013年指定:GI山梨、2018年指定:GI北海道、2021年指定:GI長野、GI山形、GI大阪)

「日本ワイン」の生産量は、国産ワイン全体の生産量の20%、輸入ワインを含む日本のワイン市場全体では5%ということ。日本でも新しいワイナリーが増え、それぞれの個性を表現した素晴らしいワインを造っています。「日本ワイン」は欧州から比べるとまだワイン造りとしての歴史は浅いのですが、今も進化を続けています。近くにあり、気軽に訪問して楽しむことができる「日本ワイン」を、これからも見守り応援していきましょう!

シャトー酒折のワインと合わせる料理

セミナーでは、シャトー酒折の異なるシリーズ3種類のワインとワインに合わせたお料理をご紹介しました。
レシピをご提供いただいたのは、甲府駅近くにある「フォーハーツカフェ」さん。このお店では、地元の食材と山梨県産のワインを楽しむことができます。
フォーハーツカフェ:https://www.instagram.com/fourhearts_jp/

甲州 i-vines vineyard 2021(Vシリーズ(Vineyard:ブドウ畑))
ワイン醸造用ブドウ栽培のプロフェッショナル集団「i-vines」が作る甲州100%で作ったワインで、甲州特有の苦みと果実感が厚みある味わいに仕上げています。
合わせる料理は、ハーブとニンニク風味のじゃがいものフライ!ハーブの香りに皮の部分がカリッと香ばしくワインがすすみます♪
このワインは味わいにボリューム感があるので、天ぷらやアヒージョといった油を使用した料理や、焼き鳥などの白身の肉料理と相性が良いです。オイル系のパスタと合わせても!
※「甲州」は日本固有の品種で、醸造量第1位。産出量は山梨県が約9割を占め日本一です。

マスカットベリーA 樽熟成 キュヴェ・イケガワ 2016(Cシリーズ(Cuvee:トップキュヴェ))
カリスマ栽培家、池川仁氏が作り出す滋味溢れるマスカットベリーAだけを使った極上の赤ワイン。15カ月間フレンチオーク樽で熟成させた、エレガントな風味と果実の凝縮感、力強さを兼ね備えた最上級のベリーAです。
合わせる料理は、ローストポーク バルサミコソース!甘酸っぱいバルサミコで蒸し焼きにされた豚肉は、赤い果実風味のベリーAとよく合います。
このワインは肉料理全般と合いますし醤油との相性がよいので、豚の角煮やタレの焼き鳥、脂ののった魚の煮つけなど和の味付けの料理に合わせても!
※「マスカットベリーA」は川上善兵衛氏により交配された日本固有の品種。

エステート シラー 2018(SEシリーズ(Sakaori Estate:自社農園))
自社畑のブドウを使った、酒折のフラッグシップシリーズのシラー!シラーらしいスパイシーさを備えながら、他の国のものでは感じることのできない、柔らかく日本的な味わいを持ったワインです。
このワインに合わせたのは牛カツレツのタプナードソース。黒オリーブの風味が、ワインの優しい果実味を引き立てるスパイシーな香りによく合いました。
エステート シラーは、ソース系より塩コショウで味付けをした赤みの牛肉に合わせると、肉の旨味が引き立ちます。また、鹿、猪などのジビエにもよく合います。
※「シラー」はフランス、コート・デュ・ローヌ地方原産。現在では世界中で生産されている国際品種。

セミナーを終えて

久しぶりに目にしたシャトー酒折ワイナリーは、エントランスから、ワインショップ、テラス、試飲カウンターなど大部分が改装され、クラフト感あふれる明るい空間へと進化していました!
もちろんワインの味わいも年々洗練されどのレンジもお勧めですが、キュヴェシリーズやエステートシリーズのワインについては、最高の栽培家が造った品質のよいブドウが持つ、それぞれの品種のポテンシャルが最大限に生かされ、酒折の目指す「心地よくバランスの整った味わい」が表現されていました。

いつかまた訪問して、美しいブドウ畑を見ることを心待ちにしています。

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